馬術(ばじゅつ)は馬に騎乗して運動の正確さ、活発さ、美しさなどを目指すスポーツ、技術体系、また競技種目である。
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スポーツあるいは競技種目としては、ヨーロッパに端を発するブリティッシュ馬術と、スペイン、ポルトガルなどヨーロッパ西部を起源とするウェスタン馬術の二つが主流をなしている。アメリカ西部開拓がウエスタンの語源と誤解される事もあるが、真の語源はスペイン、ポルトガルがヨーロッパ西部(ウエスタン)に位置していた事による。 ちなみにヨーロッパ西部は7世紀以降、両国がサラセン帝国の支配下にあったため、中東の騎乗法の影響を強く受けていて、鞍やブーツに唐草模様があしらわれているのもその現れてあり、数世紀を経た後に大西洋を渡りカウボーイの使う鞍やブーツにも影響を与える事ともなった。
ヨーロッパの馬術は古代ギリシアで発達し、クセノポンの著作は現存する最古の馬術書として知られているが、近代馬術はルネサンス期のイタリアでクセノポンの再評価から始まった。18世紀フランスのド・ラ・ゲリニエールは、この流れを集大成し「近代馬術の父」と呼ばれている。また、19世紀ドイツのシュタインブレヒトは現在のドイツ馬術全盛の基礎を築いた馬術家として知られており、彼らの騎乗法・調教法が今日の馬場馬術の基礎をなしている。 一方、障害飛越競技、総合馬術の分野では、20世紀初頭、イタリア騎兵将校のカプリリーが編み出した、鐙を短くして上半身を前傾させる騎乗法が広く採用されている。
日本の古来からの馬術は日本でもほとんど廃れ、一部の研究家が実践するにとどまっている(時代劇や大河ドラマなどでも乗馬シーンのほとんどは、ブリティッシュかウェスタンの馬術によっている)。
上二者は技術もスタイルも大きく異なっているが、双方に共通する最も大きな特徴は愛馬精神の尊重である。オリンピックでは動物を使用する唯一の種目であるとともに、選手の男女が区別されない唯一の種目でもある。
なお、オリンピックでは、馬場馬術、障害飛越競技、総合馬術の3種目が行われるが、世界選手権大会ではこれらに加え、軽乗競技、長途騎乗(エンデュランス)競技、馬車競技の計6種目が行われる。
かつて、パリオリンピック (1900年)では「乗馬走り高跳び」「乗馬走り幅跳び」の2種目があったが転倒・落馬の危険が高いためこの回のみで廃止された。アントワープオリンピック(1920年)では「乗馬フィギュア(個人・団体)」の種目があったがこの回のみで廃止された。
ラベル:馬術